2007年1月7日に放送されたあるある大事典の、納豆で痩せるという内容について、でっち上げがあったというニュースが報じられました。
驚きました、非常に。
ある程度の誇張はあるとしても、全くのでっち上げデータを放送するとは、思っても見ませんでしたから。
反あるある大辞典派にとってみれば、鬼の首を取ったようなものでしょうね。
「水に落ちた犬は打て」ということで、これからは、あるある大辞典叩きの嵐が吹き荒れることかと思います。
番組も、本日は休止ということですが、さてこの先どうなりますか。
堺正章、志村けん、それになんと言っても、鬼より怖いスポンサー様など、激怒(本当の意味で)しているでしょうし。
撮って残っているのも何本かはあるでしょうから、フジテレビが製作会社に補償を要求する可能性もありますね。
そうなると、下手をすると自殺者まででる事態にならないとも限らないのではないかと思っています。
まあ、それはともかく、本題に入ります。
私は、けっこうへそ曲がりでして、"科学的""科学的"の大合唱があると、「本当に科学的? 単に新興宗教科学教じゃないの?」と思ってしまいます。
私は、もとは技術屋です。機械設計が社会人のスタート地点です。
データを捏造するということがどういうことかは、身を持って知っているつもりです。下手をすれば、会社は潰れます。
確かに、今回のあるある大辞典の、データの捏造は許せる行為ではありません。
それはそれとして、へそ曲がり男の悪癖を出して、あるある大辞典を少し擁護してみたいと思います。
もっとも、このへそ曲がりは、宮勤めに適した性格ではありませんが・・・。
長くなりそうですから、先に結論を書いておきます。
・データ捏造は許される物ではないが、あるある叩きに加担
するつもりは無い。
・冷静に、"科学的"に考えるべき。
・健康情報番組の功績は認めるべき。
・とは言え、NHKの番組でも問題があるようだし、一度路線
を見直すことも必要ではないか。
・情報に対する最終判断は、自分の頭ですべき。
ということで、論点は以下の5点です。
1:あるある大辞典は、基本は娯楽番組
2:自分に都合の良いでっち上げは、マスコミ全体の体質
3:薬の場合
4:あるある大辞典の功績
5:情報は、自分で判断すべき
以下、具体的に書きます。
1:あるある大辞典は、基本は娯楽番組
学会発表であれば、データに基づいて、理論的な話だけをすべきです。
m.e. (慢性疲労症候群)
この場合、出席者は全員専門家ですから、基礎知識は十分にありますので、それが可能です。
しかし、テレビ番組の場合、基本的に視聴者は全員その問題の素人、という前提で作製せざるを得ないでしょう。
この場合、わかりやすくするための誇張も、ある程度はやむを得ないと思っています。
一例を挙げれば、「N数」の問題です。つまり、実験するのはいいが、対象者の数が少なすぎるのではないか、ということです。
確かに少ないですね。2人とか多くて10人程度です。ついでに言えば、効果の有無の定義もはっきりしないことが多いように感じています。
しかし、娯楽番組において、母集団がどうで、標準偏差がどうで、という話を、単にグラフや表を示したり、まして数式で説明したりしても、見てはもらえないのではないでしょうか。
ちゃんとしたデータが裏にあれば・・・このこと、極めて重要な大前提ですが・・・それを視覚的・感覚的に視聴者に納得させるために、わかりやすい例を取り上げたということで、仕方がないと思っています。
"科学的"な考え方からするとおかしい、ということで、鬼の首を取ったようにいいふらすのは、個人的にはあまり賛同できない態度です。
ついでに言えば、ある数学者のエッセイだったかに書いていましたが、説明する時は例を使ってはいけない、ということです。
たとえ話はわかりやすいが、本質から外れてしまうため、正しい理解ができなくなる。よって、必ず理論的に説明しなくてはいけない、ということでした。
そのたとえ話を、どの程度まで考えるか、が問題になります。
聞く相手によって、かなりな幅が出てくるのは、当然かと思います。
2:自分に都合の良いでっち上げは、マスコミ全体の体質
今回は、あるある大辞典が叩かれています。サンデープロジェクトでも、頭で叩かれていました。
では、報道機関というのは、すべての情報について、きちんと検証して、その上でその時点でわかっている事実をすべて国民に知らせているのかというと、大いに疑問です。
報道機関側としては、自分たちの報道については全て真実であり、ネット上の情報のようないい加減な物ではない、とよく言っていますが、事実を調べていけばそれが嘘であることは良くわかります。
サンデープロジェクトをやっているテレビ朝日の親会社である朝日新聞など、疑問の塊です。
国民全体に明らかになっている珊瑚礁落書き事件をはじめ、ネットを使っている人であれば、かなりいい加減な報道をやっているというのは、よくご存知かと思います。
無症候性尿失禁の治療
TBSも、石原都知事発言を都合のいいように編集して放送し、訴えられてしまいました。
結局、謝罪するはめになりました。新聞に小さく出ていました。
新聞にしても、毎日新聞(TBSの親会社ですか)でしたか、小泉首相のとき、助詞の「は」と「が」を意識的に変えて活字にしたことがあったようです。
これをやると、意味が正反対になることだってあります。やはり、自分たちの方向に都合が良い報道をしているわけです。
マスコミ(ネットでは、"マスゴミ"とも言われます)というものは、自分の都合のいいような放送をするものだ、という大前提はしっかりと持っておくべきです。
その上で、複数の情報から、どれが正しいのかということは、自分で判断すべきです。
でっち上げが良いとは言っていません。本来は、有ってはいけないことです。
しかし、マスコミが流す情報は、眉に唾して聞くべきものだというのが現実です。
ニュース番組ですらそうですから、娯楽的要素が強い番組の場合、さらに気をつけるべきだと思います。
3:薬の場合
あるある大辞典の場合、叩かれる理由の一つとして、誰にでも確実な効果があると思わせるようなつくりになっていることだと思います。
従って、「効くものか」という反論が出てきます。
100%の人に効くわけがありません。
病気で病院に行ったときに感じることがあるかとおもいますが・・・特に長期通院している人ですが・・・誰にでも必ず効く薬など無いということです。
私が良く出す例が、花形抗癌剤であるインターフェロンです。
健康保険が利いても月に数百万かかります。そして、投与するときは、色々と条件がつきます。
そのうえで、効果有りというのは、3割程度のようです。
その"効果有り"というのも、癌の成長が止まった、ということで判定されているようです。 完治した、というわけではありません。
そんなものです。
恐らく、100%の人に確実に効くという薬は無いのではないかと思います。このあたり、専門家ではないので、断言はできませんが。
また、稀にですが、薬の認証が取り消されることがあります。
理由は色々あろうかと思いますが、本来は効果の無い薬を認可したいたから、という理由もあるようです。
その薬を強力に推進していた医学会のボスが死んで数年経ったので、もう良かろうということで取り消される、という場合もあると言われています。
いわば、でっち上げです。
薬ですらこうですから、あるある大辞典で取り上げられたものが、100%効くわけがありません。
下腹部の痛みの症状
あるある大辞典の番組の作り方の問題はありますが、このあたりは常識問題だと思います。
ついでに言えば、効果の有無ということについては、論理的に言えば、一人でも効果有りとなれば効果有り、ということになります。
感情の問題でいけば、効果があった人が少なくとも半数位でないと、そうは思えないということになろうかと思いますが。
このあたり、"科学的"に考えることが得意な人は、もう少し冷静に考えるべきだと思います。
また、薬の場合、統計的に効果を判定するわけですが、捏造でなくとも、その結果には注意が必要です。
薬の場合、"効果有り"というのは、偽薬を使い暗示効果で治る場合と比べて、統計的にその効果が有意と言える場合です。
この場合、暗示効果との差はわずかであっても、多くの人で試験をして、それで有意となると認可されることになるわけです。
つまり、10人中2人しか効かなくても、統計的処理をして有意となれば、効果有り、です。
10人中8人9人に効くから認可される、というわけではありません。
あるある大辞典で紹介される食材の場合と比べて、どう思いますか?
さらについでに言えば、10人中8人9人に効く薬であれば、試験には大した人数は必要ではありません。
偽薬と大した差が無く、効果がある人が少なければ、統計的に有意の結果を得るためには、多くの人数で試験をする必要があります。
それでも差が出ない場合は、規則どおりにいけば認可されない、ということですね。
「大規模な認証試験を行った結果、その効果が確かめられ・・・」となると、何となく有り難く感じてしまいますが、偽薬と顕著な違いが無かったということも考えられます。
"科学的に"考えてください。
4:あるある大辞典の功績
10年くらい前ですか、血液検査の結果を医師と見ているとき、カリウムがどうの、と話をしたら、医師が驚いていました。
「カリウムがどうのと話せる患者は・・・」と言っていました。
私は、元は機械屋でお化け屋ではありませんが、カリウム程度は昔から知っています。
しかし、一般的には、知られていなかったということのようです。
現在は、かなりの人が、知っていると思います。
こういうのは、あるある大辞典の功績ではないのでしょうか。
テレビ番組で、ある程度面白おかしく説明されて、そこで基本的な知識を得て、本やネットでもっと詳しく調べていくということもあるかと思います。
5:情報は、自分で判断すべき
最終的には、これです。
今回のように、データそのものが捏造されていたということだと、どうしようもありませんが。
ただし、今回のことも、100%の嘘かというと、そうではないようです。
へそ曲がりの私としては、納豆2箱、やってみようと思っています。自分の体質に合えば、もうけものですから。
それにしても、データのでっち上げはまずかったですね。娯楽番組の演出を超えています。信頼を完全に損なってしまいました。
卑近な事に例えれば、見合い写真を撮るとき、化粧できれいに見せるのは許されるが、整形手術までやってしまい、結婚後に揉めている、というようなところかと思います。
フジテレビ、どうするつもりでしょうか。打ち切りということになる可能性もありますね。
健康情報番組の功績は大いに認めますが、ここで一度見直す必要もあるようには思います。
99、正しいことを言っても、残りの1が嘘であれば、全体として信用されません。
娯楽番組としての演出は認めますが、わからないことはわからないと正直に言うべきだと思います。
人気のある情報娯楽番組であれば、なおさら襟を正して、できるだけ正確な情報を伝えるべきだと思います。
それはそれとして、できるだけ色々と情報を集め、自分の頭で考えて、判断するべきだということを一層感じました。
○○で言っていたから、で100%信用するのはどうかと思いますね。
これ、"専門家"の話も含めて、です。
繰り返しますが、自分で判断して、行動すべきです。
非常に長くなりました。引越ししたら、一回当たりは短くして、回数を増やします。
そのほうが、検索エンジンの受けもいいようですから。
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