2012年5月8日火曜日

こころのケアセンター:なまずのストレス講座


柏崎地域こころのケアセンターは、中越沖地震により被災された住民の方々のこころの健康回復を目的として平成20年2月から活動を行っています。

活動の一環として柏崎コミュニティ放送(FMピッカラ)にて、平成20年4月から平成23年3月まで「災害後のこころの健康」についてラジオ番組「なまずのストレス講座」を放送しました。これは、その放送内容をまとめたものです。

なお、講師の所属は放送当時のもので掲載しています。

 

 

放送日:H20年12月10日

内容:「ストレスと健康」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

講師

今日はストレスと健康について、柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生に伺います。よろしくお願いします。

 

強い、あるいは慢性のストレスにより、人々は健康を害したり不適応状態になったりすることは、皆さんよくご存知かと思います。その現れ方には三つありまして、一つは体にくること、二つ目にはこころにくること、三つ目は行いにくることです。具体的に申しますと、体にくるものとして有名なのは「肥満、高脂血症、高血圧、糖尿病」に、「胃・十二指腸潰瘍、過敏性腸症候群や円形脱毛症」などが挙げられております。また、持病が悪化したりすることも当然ながらあります。今度はこころにくるものとして有名なのは、「うつ病」や「PTSD」などのストレス反応あるいは「アルコール依存症」、病気にならないまでも「集中力困難、興奮し易い、怒り易くなる」ことなどが挙げられます。次に、行いの方にくるものとして「薬物 の乱用」や、依存症にならないまでも「アルコールの乱用」や、「うっかりミスなどの事故や怪我が多くなる」ということがあります。そしてストレスが高まりますと集団で行うものとしては、「いじめ」や「家庭内での虐待」ということも稀ならずあります。  こういったことがどのようにして起こるのか以前はわかりませんでしたけれども、最近では研究により生物学的な変化が、ストレスによって引き起こされることがわかって参りました。その幾つかをご説明しますと、まず「動機付け、自発活動」などが障害されて減少する結果、動きがにぶくなっていきます。次に、ストレスがかかりますと「認知的歪曲」といいまして、「赤信号なのについうっかり動いてしまったり、青信号なのにいつまでも止まっていたりする」ということが起きてしまいます。次に「不安、恐怖の増大や、抑うつ症状の発現」ということもあります。そもそもストレスがかかると、ただでさえ不安や恐怖が増大しますし鬱々としてくることもあります。次に食事関係でいいますと、食欲が低下して体重が減少し、� ��らには胃の粘膜が損傷し易くなって胃潰瘍になったりします。次に内分泌系の話に移りますと、ステロイドホルモン(特に、血漿コルチコステロンというホルモン)が放出されて増加する結果、体に様々な影響を及ぼして血圧上昇をきたしたりします。次に有名な話ですが免疫系では白血球の活動性が減退するために、異物を異物として認識して排除することが出来なくなります。その結果、がん細胞などがどんどん増えてしまうことになります。いわゆるがんの一つの原因として、「慢性のストレス」ということがいわれております。次に痛覚系ではストレス下だと麻薬様物質が脳内から放出されることで、体内にできものが出来ると誰でも痛みを感じるのが、痛みに鈍感になってしまうために、手遅れになってしまったりすることが� �ります。その他、自律神経系では交感神経優位になることで「興奮状態」になります。このようにストレスによる体の変化があって、そのことで健康を害したり不適応を起こしたりしている、ということが現在知られております。

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放送日:H20年12月24日

内容:「大病を患う前のストレス」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

講師

今日は、大病を患う前のストレスにつきまして、柏崎厚生病院院長 松田ひろし先生に伺います。よろしくお願いします。

 

アメリカのホームズとレイという先生が、大病を患う前の一年間に、その人にどのようなストレスとなるできごとが、日常生活の上であったかを調べました※。その結果についてお話をします。1番目にストレスになったできごとは、「配偶者の死亡」です。実際に後を追うように病気になって亡くなる方が多いのは、皆さんもよく経験することです。次にストレスとして多かったことは、「離婚」です。これは離婚そのものがストレスになるのではなく、離婚に至るまでの間に夫婦の間でいろいろなもめごとが出てきて、その対応や調整等でくたくたになってしまうからです。3番目に、「離婚を前提とした別居」も挙げられます。4番目が、「留置所に拘留されること」です。選挙違反や大きな交通事故などにより、そのようになること� ��皆さんもよくご存知です。5番目は、「同居している家族のメンバーが亡くなること」です。6番目が、「自分自身の病気」。自分自身の病気というと、皆さん、かなりストレスがかかって参ると思うのですが、自分自身のことだけに意外と対処はできるという側面もあり、がんの告知の時には、ストレスとしては配偶者の死亡ほどには感じてないということも考えて、伝えるか伝えないかの判断をするとよろしいかと思います。7番目、これは意外なのですが「結婚」です。結婚はめでたいことのようにとらえられがちですが、ストレスの面からみますと、これはかなりストレスの強いことがらとなっております。8番目、ここで始めて仕事のことが出てきますが、「解雇される」ということが挙げられます。9番目は、「夫婦の和解」です。 それまで離婚だ別居だと騒いでいたのに何らかの理由でよりを戻した場合、これもかなりストレスになることがらとなります。そして10番目が、仕事上のことで「退職」です。定年退職後に急に病気になる人も多くおられます。まさにこれも、仕事人間にとっては大きなストレスとなっていることです。  以上、10位までを挙げましたが、これらのものが重なりますと余計病気になり易くなりますので、そのような時には無理をしないように心掛けることが大切です。ちなみに10番目までの内、8つ迄が家庭内のできごとであることを忘れてはいけません。家庭こそがストレスを癒す大事な場であり、又、時にはストレスがかかる大変な場でもあるのです。そういうことに気を付けて日々生活を送って頂けると、よろしいのではないかと思います。

 

※ Holmes TH, Rahe RH (1967). "The Social Readjustment Rating Scale". J Psychosom Res 11 (2): 213–8.

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放送日:H 21年1月14日

内容:「ストレスチェック」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

 

 

講師

 

 

聴き手

 

 

 

講師

 

 

聴き手

 

 

 

講師

 

聞き手

 

 

 

 

講師

今日は、ストレスチェックについて、柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生にお話を伺います。お願いします。

 

ストレスという言葉は古くからありそうですが、巷に知れ渡るようになり始めたのは、戦後の高度成長期に入った昭和30年以降のことです。そして今や、老若男女誰もが使う言葉となっています。しかし、そのストレスという言葉の意味や概念は、厳密には医学・生理学用語で簡単なものではありません。にもかかわらず、ストレスという言葉が氾濫し、様々なストレスチェック表が至る所で使われています。例えば「職場ストレス」、あるいは「学校ストレス」などなどです。それらのストレスチェック表の主だったものを調べてみますと、最低でも20項目の質問があり多いものでは80項目にも及びます。これではストレスチェックをするだけで、ストレスがかかってしまいます。ところが、このような複雑な質問票を使うのではなく、� ��己チェックする場合に大変便利な方法があります。それは、ストレスによって体にかかってくる「変化」を知ることです。具体的には、いつもと比較して「1.睡眠」はどうか、「2.食欲」はどうか、「3.便通」はどうかです。睡眠は、「良く眠れればいい」ということではなく、翌日に疲れが持ち越すようではいけません。質のいい睡眠とは、少しでも疲れが取れ「ああ、良く寝たな」という気分になれることです。2番目に食欲についてですが、ストレスが続くと食欲が低下したり無茶食いをしてしまったりします。いつもと比較してこのような変化が強い場合には、「要注意」となります。3番目、最後に便通ですが、これもいつもと比較してどうかを、自分自身でよく観察して知ることが大切です。このように、当たり前に体の状態 をチェックしてこそ、健康維持のためには大切なことがらとなります。そして、いつもと違うことがあれば「最近疲れているかな、ストレスかかっているかな」と、一度疑ってみることが何よりも大切です。

 

私などもこのストレスチェック表などを見ると、ついついやってしまいますけれども。

 

それで一喜一憂することになる。自分の体自身を客観的にしかも簡単にいつもチェックすることの方が、よほど役に立つと思います。

 

そういう意味では、今ほど松田先生が教えて下さいました三 つの項目というのは、どういう場面でもすぐに自分でわかるというところかも知れませんよね。

 

まさにそうだと思います。私もストレスチェック表などやらずに、自分の体のチェックをいつもして、自分のストレスチェックに代えております。

 


水疱エプソム塩

睡眠はどうだったかな、食欲はどうだったかな、そして、便通ということで快便だったかなと。このあたりを毎日チェックできる、そういうところからストレスチェックはできるのですね。

 

はい、その通りです。

 

今日は、今年最初のなまずのストレス講座ということで、松田先生にお話を伺いましたが、今年はそういう意味で、毎日「今日はどうかな」とストレスチェックをしながら、元気に過ごして頂きたいというところかもしれませんね。

 

はい、その通りです。

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放送日:H21年1月28日

内容:「ストレス対処法」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

講師

 

今日は、ストレス対処法について、柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生に伺います。よろしくお願いします。

 

ストレスがかかりますと疲れて参ります。そうならないために、様々な対処法が考えられています。まず、ストレスとなる事柄に直面する場合にやることといいますと、「思い切って逃げてみる」ということも時には必要になります。誰でもすべて自分でやろうとすると、無理がかかってしまいます。そのような時に例えば職場では「権限委譲」といって、人に任せられることはしっかり任せるということが大切になります。例えば町内会の仕事でも、義理で無理してやって疲れ果ててしまう方をよく見受けますが、やはり「任せられることはきちっと任せる」ということを、考えてみる必要があると思います。又「きちっとした返事や主張をすること」も時には大切です。なんでもかんでもいつもいい返事しかしていないと、どうして� ��仕事量が増えてしまいます。「申し訳ありませんが、今こちらの仕事で手が一杯ですので、それが済み次第やらせて頂きます」と言えるか言えないかで、随分ストレスの度合いが変わって参ります。相手の評価を恐れてばかりいては、自分自身が疲れ果ててしまうだけです。この、主張がきちっと言えるかどうかでは「自己主張法」というものがありますし、「時間調整法」というものもあります。時間調整法は「時間整理法」ともいいまして、朝、職場に行ってから5分10分とお茶を飲みながら「今日一日何をするのかな」と考える、それだけで一日がものすごくゆとりあるスケジュールになる場合があります。こういうのを時間調整法や整理法といいます。次に、失敗した時には「こんなのは、自分本来の調子であるわけない」と考え� �焦って失敗を取り戻そうとしがちですが、やはり失敗は失敗と素直に認めて受け入れ、これをいい糧として今度はそのようなことは無いように、注意しようと考えることも大切になります。いうなれば「七転び八起き」あるいは「雨降って地固まる」、これらのことわざのいうように考えてみることも大切となります。
 ただ、これらのストレスに対する対処法だけでは、ストレスが非常に強くなって疲弊してきますとどうしてもダメでして、次のようなことも考えてみる必要があります。1番目は、「睡眠を中心とした休養を十分取る」ことです。質のいい睡眠が大切で横になるだけでもよろしいのです。2番目は、「気晴らし、あるいはリクレーション」といいまして、五感を使うような例えば山菜取りとかキノコ採りは、危なくないようにして頂ければこれ程体にいいことはありません。そして3番目は、「リラックス」です。自分のリラックス出来るものを常日頃用意しておくことも大事です。「音楽鑑賞・読書・絵を描く・ドライブ・歌を歌う」など人によって様々です。そういったことを一人で楽しむ、時には友人と、あるいは家族で楽しむとい� �ことが非常に大切です。これら三つのことが、ストレスで疲れた体を癒すために、あるいは心を癒すためにはとても大切であり、健康を取り戻すための一つの秘訣ということがいえるのです。ただきたいと思います。

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放送日:H21年4月8日

内容:「ストレスに強くなるには~7つの生活習慣~」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

 

講師

 

 

 

聴き手

 

 

 

 

講師

今日はストレスに強くなるには~7つの生活習慣~という内容について、柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生に伺います。お願い致します。

 

ストレスに強くなる方法についてはこの前もお話しました。今回は、過剰なストレスに耐えられる状態を身に付ける方法についてお話します。アメリカの内科医のブレスローは、ストレスに耐える健康、ストレスに耐え健康になるため、あるいは健康を維持するための生活習慣について7つ挙げています。その始めは「タバコを吸わない」。タバコは肺がんの元として有名ですが、案外見過ごされていることがタバコによりストレスに弱くなるということです。ストレス状態が慢性化したり病気が長引いたりする主な原因が、喫煙ということが往々にしてあります。2番目に、「飲酒を適度にするか、全くしないこと」です。適度の飲酒とはどのくらいか皆さん気になるところですが、せいぜい日本酒で言えば一日2合以内、ビールにして� �瓶1本以内というところです。時には深酒することもあるでしょうが、毎日では肝臓が持ちませんしストレスに対しても弱くなってしまいます。3番目に、「定期的に、かなり激しい運動をする」ということです。年齢による運動差は当然ありますが、平均30分ぐらいの早歩きは毎日した方がいいと言われています。毎日はとてもできないという方には、目安として一週間でだいたい3時間前後、運動すればいいということになります。4番目は「適正な体重を保つ」。人によって差はありますが標準体重をだいたい維持することは、生活習慣病にならないということで大切だと昨今よく言われておりますが、それは同時にストレスに対しても大変大切なことだと言えます。5番目が、7~8時間の睡眠を取る。これも人によって差がありますが、� ��安として起きた時に「あ~、疲れがだいぶ取れたな~、気分がいいな~」というのが、良い質の睡眠と言えます。眠らずにストレスに強くなることはできません。6番目に、「毎日朝食を摂る」。若い人の中には夜更かしをして夜食を摂り、朝食を抜いたりする人が少なくありませんが、これではストレスには勝てません。朝食を摂るということは、きちんと栄養を摂り朝から活動をしていくということになります。一日の始めに脳を活性化するためにも、朝食を摂るということは大変大切なことと言われております。7番目、「不必要な間食をしないこと」。間食をすると適正体重を保てない、あるいは朝食を抜いたり少なくしたりしてしまいます。結果としてストレスに弱くなったりします。これら7つの生活習慣を是非身に付けて、過� �ストレスに対処できる体を作って頂きたいと思います。

 

この7つ、全て整っていないとダメなのでしょうか。

 

目標としてそういうものを挙げて頂ければいいのです。全てをクリアするのはなかなか大変ですけれども、自分としてどこが欠けているかを、時々思い返すというのは非常に大事ではないかと思います。

 

7つを、少しずつリズムを整えていく中の目安として、これが出来るようになった、そしてそれを自分の体の中にしっかり取り入れながら生活し、そしてまた出来なかったものを今度、また出来るようにということで心掛けていくという態勢で宜しいでしょうか。

 

はい、その通りだと思います。

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放送日:H21年4月22日

内容:「笑ってストレス軽減」

講師:柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生

聴き手

 

 

講師

 

今日は笑ってストレス軽減という内容について、柏崎厚生病院 院長 松田ひろし先生に伺います。お願い致します。

 


子供たちは、黄熱病

笑いについて、これまでいろいろと研究されていますが、体との関係は意外と知られておりません。ストレスによる反応についてこれまで幾つかお話しました。それをまずまとめてお話しますと、精神面ではまずストレスがかかると注意力が散漫になり、認知の歪みが起きて来ます。例えば青信号なのにいつまでも動かない、赤信号なのに突っ走ってしまう突っ切ってしまうということが起こる。二つ目は動機付けが低下して、何かやりたいという意欲がだんだん低下して結局何もしなくなってしまいます。例えば疲れて来ると、面白いテレビがあっても見る気がしないということになってしまう。三つ目は感情がうまくコントロールできず、怒らなくていいところで怒って、喧嘩になってしまうということが起こったりします。身体面� ��方では、まず第一に食欲が低下します。ストレスがかかると胃の粘膜に損傷を起し易く、いつの間にか胃潰瘍や胃炎になったりします。また、ストレスによりホルモンのバランスも崩れ易くなります。例えばストレスがあると女性などは生理が止まったりしてしまうとよく聞かれると思います。神経系では、自律神経は生体の神経調整に非常に大事なものですが、それには交感神経と副交感神経があります。興奮するときには交感神経、安らぐ時には副交感神経がそれぞれ優位になります。意識しなくてもそういうことは自動的に体の中で行われております。それが、ストレスがありますと交感神経が優位となり、常に緊張状態に体はなってしまいます。その結果、安らぎを求める副交感神経の働きがだんだん鈍くなって、結果として精� �的にも身体的にも休むことが出来なくなってしまいます。更に生体が生存していく上で、大切なものとして免疫機能があります。例えば外から細菌や異物が入って来た時に、白血球はそれを殺してうまく外に排出してくれます。ところがストレスがかかりますと白血球の働きが悪くなる。ナチュラルキラー細胞といいまして、ガンなどを異物として認識して排除する機能が白血球にありますが、それが低下しますと異物を認識することが出来なくなってしまいます。するといつの間にかガンが大きくなってしまうということになります。ガンの機能・メカニズムもだいぶ分かってきて、慢性のストレスもその一因であると認識されてきました。しかし一方、ストレスがかかる程、脳内に麻薬様物質が出て来ます。そして痛みに鈍くなります 。その結果として気が付いた時には、治療が手遅れになったり病気がなかなか治らなくなったりしてしまいます。  このようなストレスによる生体の変化が知られているわけですが、このようなストレスの変化を解消するものとして、何がいいかと言うと実は「笑い」なのです。笑うと腹筋や横隔膜を使い、それで腹部や腸を刺激して便通を良くします。また笑うことによって副交感神経が優位となり、緊張や興奮系から安らぎ系に身体が変化していきます。それ以外に免疫系では、白血球の働きが一時ストレスなどで落ちたとしても、笑うことによって回復することが実験的にも今日確かめられています。落語を多くの人に聞かせて、その前後で脳内のナチュラルキラー細胞の活性化を調べると、明らかに30~40分の落語を聞いた後の方が活性化が高まってきています。要するに抵抗力が高まってくるということです。その他にも血糖値が笑った後には きちんと下がります。そして糖尿病を予防したり高血圧を予防したりします。人類はストレスを解消するためにいろいろなことを考え出してきました。その中でも笑いというものは人類が生み出した最大のストレス解消法です。そして楽しいから笑うというだけでなく、笑うから楽しいということも事実です。どうか毎日を大いに笑って、楽しく過ごして頂きたいと思います。

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放送日:H21年2月11日

内容:「うつ病とは(症状)」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

今日は、「うつ病とは」という内容について、米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生にお話を伺います。

 

我々精神科医がうつ病という場合には、「病前の性格」と「発症してくる状況因」、それと「症状」をセットで考えるわけです。その内の病前性格というのは、例えば「非常に努力型で責任感が強く、非常に几帳面で律義で、社会的な役割とか秩序を非常に重んじる方」が、うつ病に成り易い性格と考えております。そうしますと発病状況としては、そういうご自分の役割とか環境ですとかが変わった時に、その新しい環境、例えば職場ですと非常に有能な方が多いので、昇進した時とか栄転した時とか新しい役割をご自分が得た場合に、その新しい役割に自分自身をうまく合わせられなくなってきた場合があります。例えばその他にも、今迄住み慣れたおうちを新築したり引っ越ししたりした場合。それから、例えば子育てが終わった� ��に気が付いてみると、自分自身が独り取り残されてしまったような、こういう「空の巣」の様な状況とかです。あるいは、いろいろなストレスがかかっていたのが、やっとひと段落ついて荷降ろししたような時、むしろ非常にこういった状況の中で発症していくことが多いわけです。そうした時の症状として精神面では「抑うつ気分・意欲低下・集中力低下・不安感とか焦燥感」、こういったものが非常に高じてきます。そして、自分自身が無価値な存在で情けなく自分を責めるような感じが強くなり、自分自身の役割なども「世の中には必要とされてないんだ、死んだ方がましなんだ」といった形に、希死念慮(きしねんりょ)・自殺念慮が非常に強まっていく場合も多いわけです。その他にも、こういった精神的な面だけではなく、� �ぼ確実に必ず「食欲低下・不眠・頭が重い」ですとか、「胸がつかえる・胃がもたれる」とかいった、身体的な症状も伴う場合が非常に多いのです。むしろ、この身体的な症状が前面に出ている状態を「仮面うつ病」というのですけれども、このような病態の方は例えば頭が重い方ですと脳外科に行ったり、胃が重い方なら消化器内科に行ったり身体科の先生を訪れる方が多くまれならず見受けられます。他にうつ病の特徴としては、こうした症状が一日の内に変化するということがあります。例えば一番典型的な例では朝、非常に具合が悪いのですけれども、午後から夕方にかけて軽快していく。こういうのを「日内変動」というのですけれども、こういった症状の変動を伴う場合がまれならず見受けられるのです。

 

ちょっと気になるなという方は、まずは、こころのケアセンターにお尋ね頂きましょう。

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放送日:H21年2月25日

内容:「うつ病の治療法」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

 

 

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聴き手

 

 

講師

今日は、うつ病の治療法について、米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生にお話を伺います。治療法にはどういったものがあるのでしょう。

 

まず、うつ病の治療についてなんといっても現在の精神科では、「薬物療法」が主体になっております。この薬物療法に加えて「環境を整備する」ということがあり、例えば一旦職場から離れて休養を取って頂いたり、可能な限り外せるストレスを外してゆっくり休んで頂きます。この二本立てでまず治療を開始する場合が多いわけです。そして、薬物療法にも二種類ありまして、抗うつ剤といううつ症状そのものの改善が期待されている、根治といってはちょっと大げさかもしれませんけれどもうつ病を治す薬があります。それと、例えば風邪を引いた時にお熱を下げる解熱剤のような対症的に使うお薬があります。例えば、不安感とか焦りがとても強い時にそういう不安や焦りを軽減する、精神安定剤のようなお薬を併用したりしま� ��。他にも、前回申し上げたように不眠・睡眠障害を訴える方が圧倒的に多いものですから、睡眠導入剤を同時に併用する場合が多いのです。現在では、こういった精神安定剤や睡眠導入剤は非常に安全な依存性が少ないお薬が開発されていますので、医師の処方に従って頂ければ安心して安全に飲んで頂くことが可能です。ただし問題は、抗うつ剤・うつを治すお薬は、飲むと次の日に効くというわけではないのです。しかも、最初から最大容量を出すわけではなくて、安全な領域から少しずつ増量していく使い方をするのですが、その上げていく中で効果が期待できるまでに最低一か月ぐらいお待ち頂かなければならないという側面があります。そのため、非常にこう効いた感じがしないということで、服薬中断につながってしまう場� �が多いのですが、あくまでもこの薬物療法は必要不可欠であると我々は考えております。

 

まず、投与された薬が、どこまで体に合っているかどうかを見極めるために、最低一カ月は様子を見なければならないということですね。

 

おっしゃる通りだと思います。ただ、最近のお薬は眠気とかだるさとかの副作用がとても軽くなっております。もちろん、不快な感じがした場合には、その時点で別のお薬に変えたりするわけですけれども、飲み心地の悪いお薬は無くなりつつありますので、安心して飲んで頂けると思います。

 

勝手に、もうこんなに飲んだのだから「やーめた」ではだめということですね。

 

そうですね。お薬に対する心配ごとがございましたら是非その都度、主治医の先生とご相談になりながら変更なり増量、あるいは減量についても相談して頂ければよろしいかと思います。

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私の痛みを和らげる

放送日:H21年3月11日

内容:「うつ病の方に対する接し方」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

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講師

うつ病についてお話を伺って参りましたが、うつ病を患った方の周囲の方々の対処ということについて、今日は伺っていきましょう。対応の仕方というものはどういうものなのか。米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生に伺わせて頂きます。

 

前回の、治療のところでも申し上げたのですけれども、ご家族の対応としてはやはりこの環境を整備して頂くということに関しては、非常に重要な役割を担って頂かなくてはならないという側面は確かにございます。ただこの場合にも主治医とご本人、それとキーパソンになられる方ですね。例えば男性でしたら奥様、女性でしたらご主人、あるいは独身の方でしたら、それに準じたご本人と主に一緒に暮らしている方ですとか、そういった方達がどういうふうにご本人に接して頂けるか考えていく必要があると思います。その場合に最も大事なことは、まずゆっくり休ませてあげるということなのです。これは言うのは簡単なのですけれども、例えばよくあるのはどこも体に悪いところは無いのに、終日家の中で臥床(がしょう)傾向� ��ある方に対してつい愚痴を言ってしまったり、悪気は無いのに少し言葉が刺々しくなってしまったりします。こういったことを完全に排除することは非常に難しいのですが、やはり出来る限りゆっくりと休ませてあげることが基本になると思います。それでよく、うつの方に励ましは禁物だというようなことを言われるのですが、励ますということは非常に頼りにしているというような、早く元気になって下さいというようなサインにおいてそれがまずいのではなく、むしろその同時に追い込んでしまうというような側面があるわけです。ですからご本人に対しては、励ましだけではなくて追い込んでしまうようなことを出来るだけ避けて頂きます。それで看護・介護者ですとか周りの方々がそうした対応に少し困難さを感じた場合には� �サポートする方達をサポートするという形でカウンセリングとか家族療法とか、ご家族全体を一つの単位としてサポートしていくような方法も我々は採る場合がございます。だけれども、基本はやはりゆっくり休ませてあげるということだと思います。あとは、食事とか身体面でもくれぐれも無理をしないように気を遣ってあげることが大事だと思います。

 

そして患者さんの周りの例えばご家族が、このうつ病の要因になっているのではというふうに思われる方もいらっしゃるかもしれませんが。

 

当然ですね、例えばあの時にあんなことを言ってしまったのがきっかけで、あるいは私のこの一言がうつ病の原因ではないかというふうに、責められてしまう方達もたくさんいらっしゃるのです。しかし、そういったことを気遣って頂くというような姿勢は勿論非常に大切だと思いますけれども、そのことが原因でこうなってしまったというふうにお考えになる必要は無いと思います。我々は常に生きている時に気付かない内に人を傷つけてしまったり、あるいは逆にその人がそのつもりではなくても励まされたりということもあるわけですので、そのことを一つ一つ取り上げてご自分をくれぐれも責めないようにして頂くことが、周囲を長くサポートしていくための一番大事な点かもしれません。

 

うつ病かなと感じたその後、例えば病院に行き、うつ病ですと診断された中でそれが完治する可能性というのはどう考えたらよろしいのでしょう。

 

勿論、最近のお薬ですとか、それからこういった環境整備によって、完全に復帰する方は非常にたくさんいらっしゃいます。ただし、非常に短期間で改善する方もやはり基本的には一年間は、きちんとその良くなった時点での服薬を続けて頂きます。それで徐々にお薬を減らして完全にお薬を服薬しなくてもいい状態にまで導くのですが、かなりの数の方がそういう経過を辿ることが多いのです。ですから基本的にうつ病は、治る病気というふうに考えて頂いて大丈夫かと思います。

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放送日:H22年12月8日

内容:「睡眠障害①」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

 

 

講師

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

聴き手

 

 

講師

今日は、米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生に、睡眠障害について伺ってまいります。よろしくお願いします。

 

人間は嬉しいにつけ悲しいにつけ眠れなくなります。例えば、子供時代は主に明日の遠足とか旅行の計画など楽しいことが迫って来ると、眠りが十分取れなくなるということを経験された方も多いのではないかと思います。しかし、年を重ねるにつれ次第に眠れないことの理由が、心配事の積み重ねによることが増えてくるようです。しまいには眠れないかもしれないことが気にかかって仕方なくなり、ますます眠れず夜が怖くなってきたりする。こういった睡眠の在り方について、今回はまず睡眠の役割と必要性についてお話します。その後ノンレム睡眠とレム睡眠から、不眠症の病態についてどのような病気があるか、それから最近少し知られてくるようになりました睡眠時無呼吸症候群についても少しお話ができたらと思います。� ��後に、睡眠障害の治療についてお話をしていきたいと思います。

 

2回シリーズでお話を伺う中、まずは睡眠の役割と必要性について伺わせて頂きます。

 

人間は眠らないとどうなるのか、眠らないと人間の精神活動はもちろん身体活動もそうなのですけれども次第に乱れてまいります。また、逆に精神活動が乱れてくると睡眠も障害されることが非常に多いです。このことから考えるとどうやら人間にとって、睡眠は起きている間の諸活動を支えるには必要欠くべからざるもののようです。こころに懸念があっても十分な睡眠が取れていれば、昼間に乱れた考えも夜の間に睡眠が整えてくれる。ちょうど昼間に子供が脱ぎ散らかした洋服を、夜の間にお母さんがきちんと整えてタンスにしまってくれているように、眠りはこころのタンスに乱れた考えをきちんと整えて引き出しにしまってくれる。こうしてしまった引き出しの奥底にとどまっていつしか忘れ去られた記憶が、何かの必要に迫� ��れて出してくれと叫ぶ声が夢です。

 

なるほど。では、続きましてはノンレム睡眠とレム睡眠について教えて頂きます。

 

人間の睡眠は1時間半から2時間が一つの単位になっています。そして簡単に言ってしまいますと、1時間半から2時間おきに脳と体が別々に休息を取っているのです。レム期では覚醒している状態に近いような眼球の早い動きが見られます。これはRapid Eye Movementの頭文字を取ってレム睡眠というのですけど、非常に急速な目の動きを伴います。夢はこの時に見ており脳波計で睡眠時の脳波を計測しますと、1時間半から2時間おきに数分から数十分の夢を見ていることがわかります。ここで起きてしまう、あるいは起こしてしまうと夢を覚えているということになるわけです。最近夢をよく見るようになったというのは、このレム期に起きてしまっているのです。子供から成人、更に老年期になるに従ってレム期・レム睡眠はだんだん減っていきます。次第に夢が無くなっていくわけですね。中年期以降はもう一つの、体が寝ている方のノンレム睡眠の内の一番深い層、第4層というのですけれどもこれも減っていきます。これが加齢に伴う睡眠の変化です。睡眠の能率が低下するのでより長い時� �が必要になります。昼寝の時間が長くなるのはこのせいであります。また、睡眠時の時間の感覚も鈍くなります。私たちが8時間寝て起きた時と2、3時間で起きてしまった時とでは、その感覚の違いをいつも実感できていることが多いのです。しかし、加齢によってこういった感覚も鈍くなってきます。私が外来でよくご本人が昨日は一睡もできなかったとお話をしている時、横から付き添いのご家族が「でもこの人はいびきかいて寝ていました」などと、話が食い違うことが結構あるのですけれども、これは本人の睡眠時の感覚が鈍くなっているためこういうふうになっているのです。こういう時に「先生に嘘なんかついちゃだめ」と叱らないようにしてください。

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放送日:H22年12月22日

内容:「睡眠障害②」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生に、睡眠障害の2回目ということで伺ってまいります。

 


前回は、睡眠の生理的な側面についてお話をしたわけですけれども、今回はその睡眠が障害されてしまった不眠症についてお話をしたいと思います。不眠症はパターンとして大きく分けると4つあります。それは、1.入眠障害。2.早朝覚醒。3.熟睡困難。4.全不眠、全く眠れない。重さとしてはこの順番に段々重くなってくる感じです。入眠障害というのは眠気がきたのだけれども、床について眠ろうとすると目がかえって冴えてしまって、なかなか寝付くのに時間がかかってしまう。5分位ですぐ眠れていた人が1時間も2時間も床の中でなかなか眠れないでいるような状態です。早朝覚醒、これは要するに朝早い、例えば4時になるとニワトリが鳴くよりも前に起きてしまうとか、よく眠れるのだけれども朝が早くなってしまう。熟睡困� ��というのは、眠りが浅い状態でちょっとした物音で起きてしまうような状態です。一番重い全不眠、全くほんとに寝付けもしないしうとうともしない、このような状況を全不眠といいます。パターンとしてはこの4つに分けて考えることがいいと思うのです。こうした不眠症をきたすいろいろな側面を説明してみたいと思います。それはまず体に病気がある身体疾患、これはすべてどのような病気でも我々の眠りは、例えば風邪でもそうですよね。皆さんご経験されるように風邪でもなかなか睡眠がうまくいかない。重い病気になってもそういったことは同様にいえるように思います。それとは違って特有の病態もあり最近よく知られているのは「むずむず脚症候群」、どうも寝ると脚がむずむずしたり痛いとかいうような神経学的にもの� ��ごく睡眠を妨げるような病態です。あとは「睡眠時無呼吸症」という病態もあるのですけれども、これについては後程お話をしたいと思います。それから生理学的な不眠、これはいわゆる「時差ぼけ」です。枕が変わったり最近では勤務交代・交代勤務、あるいは短期間の入院ですとか、環境が非常に劣悪な所での睡眠が障害されるような状態です。それから次には私が専門なのですけれども心理学的な不眠、例えば精神的ストレスですとか重篤な疾患にり患してしまった、あるいは喪失体験、それから恐怖体験とかPTSD(外傷後のストレス障害)です。このような状態からも睡眠は障害されます。それから精神疾患です。これは全般性不安障害とか恐怖症・パニック、あるいは躁うつ病を始めとした感情障害、統合失調症、それから何か� ��の脳の損失による障害とか、その他の体の疾患によって起こってくる精神障害と、あらゆる精神疾患で睡眠障害をきたしうると思います。それから睡眠時無呼吸症候群、これは近年わりと注目されている状態です。かつて不眠というのは今でもそうなのですけれども精神科の病気として扱われることが多かったのです。けれどもこの病態は精神科が扱うこともあるのですが、むしろ耳鼻咽喉科や呼吸器内科、あるいはこの3科が連携して診ることが多い状態です。最も多いパターンは肥満した中年以降の男性が、妻にいびきがうるさいと寝室を共にしてくれなくなったり、インターネットで調べてこの病気を疑うような場合です。夜眠っている時に呼吸が止まって周りが「死ぬんじゃないか」と心配し始めた頃に、深い呼吸を再開するよう� ��感じです。局所の手術や特殊なシーパップ(CPAP)といわれている機械・器具なのですけれども、そういったものを使用して治療にあたります。これらは睡眠障害専門を標ぼうしている医院に受診してぜひ相談してください。一般的には差し当たり横向きになると軽くなることが多い状態です。またこういう時には睡眠導入剤は症状を悪化させてしまうことがあるので、やはり専門の医師に相談してからにしてください。最後に睡眠障害の治療ですけれども、一般的には眠りにつく前には例えば熱いお風呂に入ったりとか、そういうような心身共に興奮するような状態は避けていただいて、ゆっくりお休みになってから床につかれることがいいと思います。それからやはりなんといっても現在睡眠導入剤のかなりいいものが、副作用が少な� ��て非常に自然な睡眠に近い睡眠を得るお薬がいろいろと開発されて、安全なお薬がいっぱい出ておりますのでぜひ専門医に相談していただきたいと思います。

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放送日:H23年1月12日

内容:「不安①」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

 

米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生に、今日は不安について伺わせていただきます。よろしくお願いします。

 

「不安はめまいに似ている」といったのは哲学者のキルケゴールですけれども、人間は死を意識する唯一の動物です。そこから希望も生まれれば不安も感じるようになるわけです。そして私たちの人生はひとえにこの不安から逃れるすべを一生かけて追い求めている、という見方もできるでしょう。しかし不安を感じないで済んでいる時も、不安が無くなっているわけではありません。だから絶えずいつも努力していないと、たちまち不安が顔をのぞかせるというわけです。ちょっとした懸念が不安の窓口になります。この不安が何らかの要因で取り除けなくなった場合に、精神症状として現れてきます。ここでは精神病を除いた、いわば「ノイローゼの不安」について述べてみたいと思います。大きく分けると二つに分けることができ� ��す。一つは不安を前にして何らかの守りの体制が作り出す状態で、もう一つは不安の前になすすべ無く立ち尽くしてしまうものを指します。何らかの守りの体制が作り出すものとしては「恐怖性障害」という病態としてあげられます。これはある特定の状況や事物によって不安が誘発されるため、それらの状況を回避しようとするものです。そして次にそのことを考えただけで不安を生じるようになります。これを「予期不安」といいます。幾つか代表的な例をあげてみます。まず「広場恐怖」、開かれた空間に対する恐怖だけでなく、群衆の中や安全な場所に逃げ出すことが困難な状況に対する不安も含みます。例えば一人で外出する。店や人ごみの中、公共の場に出ていく。あるいは列車やバス・飛行機で一人旅をする。飛行機が怖� �旅行添乗員とか、高速道路上で渋滞に巻き込まれてから車に乗れなくなってしまったタクシー運転手などを私は経験したことがございます。広場恐怖は後で述べるパニック障害を伴いやすく、そのような状況を恐れるあまり一切外出できなくなってしまうケースもあります。ちょっと女性に多いようですね。次には「社交不安障害」。これは広場恐怖の人ごみとは対照的に比較的少数の中で他人から注目されることを恐れるものです。会社でのスピーチやプレゼンテーションなどの状況に限定して起きる場合には、そのような状況を避けることで社会的役割の遂行が滞るので、社会人としては少々やっかいになる場合もあります。しかも青年期に多発し男女差は認めません。従来対人恐怖とか赤面恐怖・視線恐怖など、生じる症状によって 分類されていたこともあります。自己評価が低くて人前で恥をかいたり批判されることをひどく恐れる方に多いようです。後は特定の恐怖症です。例えば動物恐怖とか高所恐怖・雷恐怖・暗闇恐怖・血液恐怖とか感染症に対する恐怖など、様々なその特定の恐怖症をさします。

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放送日:H23年1月26日

内容:「不安②」

講師:米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生

聴き手

 

 

講師

不安について2回目ということでお送りする中、今日は米山爽風苑 施設長 鈴木康一先生にお話しを伺います。よろしくお願いします。

 


今日は「パニック障害」並びに「全般性不安障害」についてお話したいと思います。こちらは不安の前になすすべなく立ちすくんでしまうような状態です。昔は不安神経症と呼ばれていました。当時から急激に不安発作に襲われる人と慢性的に漠とした不安に苛まれ続ける人がいましたが、今日ではこの2群をパニック障害と全般性不安障害の二つに分けております。まずパニック障害です。突然「動悸・震え・息苦しさ・胸痛・めまい」などに襲われます。と同時に現実感が失われてしまったり、意識を失う感じがして死んでしまうのではないか、気がふれてしまうのではないかといった恐怖感に襲われます。この時呼吸がものすごく速くなり、その結果いわゆる過換気症候群といわれる病態、すなわち2次的に手足のしびれや冷感など� �症状を招く場合も多くあります。こういう病態なので夜間救急外来を利用する頻度が増えたりしますが、この病態であれば救急車が病院に着く頃には症状がおさまっていることも多いようです。しかし中には「心疾患・脳血管疾患・呼吸器疾患・内分泌疾患」などの身体疾患がある場合もあるので診断・鑑別は非常に重要です。同じような状況で起こることが多く、必ずしも心理的ストレスと関連するわけではありませんが、また起こすのではないか再び発作が起きたらどうしようと不安に駆られ、発作が起きる状況を避けようとします。それがかえって発作を強めてしまい、生活範囲が狭まってしまう時もあります。広場恐怖などを合併する場合も非常に多いです。次に全般性不安障害です。これは特定のことには限定しないが次から次 へと心配事が頭に浮かんできてしまって、慢性的に不安に苛まれている状態です。常に何がしか気がかりでイライラして集中できずゆっくり休めない。身体症状もほぼ必発で「頭痛・震え・めまい・ふらつき・発汗・ひん脈・呼吸困難・心臓の辺りの不快感や痛み・四肢の冷感・口の渇き」などの自律神経症状を伴います。自分の家族の誰かが事故にあうのではないか病気にかかるのではないかと不安でたまらない。精神科を訪れ服薬を勧めると、今度は副作用が心配で頭が一杯になってしまいお薬が飲めない。このようなことを訴える方もいらっしゃいます。うつ病や慢性的なストレスなどとの関連を常に考えていかないといけない病態です。同時にいわゆるストレス・急性のストレスとか外傷後のストレス障害(PTSD)などとの関連も、 常に念頭に置かないといけない病態であると思います。さて実際にこうした様々な理由で不安を主な症状とした精神疾患に対する治療は、まずこれは病気はどの病気もそうなのですけれども、原疾患の治療ということが一番大きいかと思います。この中で最近では不眠症の話の時にも申し上げたのですけれども、今は薬物療法が主体になってきております。この薬物療法は大きく抗不安薬とそれから睡眠障害を伴う場合には睡眠導入剤、こういったもので非常に軽快される方も多いのです。最近では抗うつ薬の非常に副作用の少ないSSRIといわれている、セロトニンを少し多く分泌するようなことを主眼とした薬が、非常にこういった状態にはよく効くといわれております。実際に非常によく効きます。そうした薬を使うことが一番重要な治 療法なのですけれども、その他に精神療法として最近では認知行動療法というものが盛んに推奨されるようになってきました。これは基本的に非常に大きなショックですとか、こういったことが起こったりすると物事をきちんと理解し整理して事に当たるというような認知面も非常に障害されてしまう。そういったような状況の中から、例えばパニックになった時ですとか、なすすべなくその病態の中に絡めとられてしまったりする。あるいは不安を感じた時にいろいろな行動を起こしたりするわけですけど、そういう自分自身が取りうるような行動を抑制する形で、そういう不安を感じた時に自分が起こす行動を抑制していくというようなことです。かなり効果が期待できる療法ですけれども、これはやはりどちらも精神科の外来でよく� ��治医の先生と相談しながら、最も適切と思われる治療法を取り入れていっていただければいいと思います。

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